サンデーナイトメンタル

雨が多く、曇りがちな空。

そのどんよりした天気は夏の日差しを遮り、

だけど暑さと紫外線はそのままに、

南国らしからぬ風景をつくりだす。

そしてときどき、はっとする景色を見せてくれる。

 

今日はそんな日だった。

 

週末、ちょっと遠出して、楽しんだけれど少し疲れて帰りのバスに乗りこんだ。

明日からまた平日だぁ、なんて思いながら、

売店で購入したパンをかじり、バスに揺られ。

 

平日だって、日本に比べれば、

ずっとずっとスローなゆとりだらけの日々なのに、

やっぱり休みって恋しくなる。

 

隣に座ったおばちゃんの大きなお尻に耐えながら、

自宅へ続く小道の入り口で下車をする。

そこから自宅まで徒歩15分。

アスファルトの代わりに砂利が敷かれたこの小道は、

晴れれば砂埃が舞い、雨に濡れれば泥道と化する。

 

バスに乗り込んだときは晴れていた。そして今も。

けど、砂利が程良く湿っているのか、埃はたってなく、

真っ直ぐな一本道の向こうの方までよく見える。

きっとお昼頃にひと雨あったのだろう。

 

日曜日の終わりを感じながら空を見ると、

真っ青ではないけれど、

すぅっと細く薄い雲と、その隙間から見える青い空がきれいなグラデーションをつくっていた。

 

なんとなく得した気持ちで家に着き、

先週から一緒に住み始めた同居人に「ただいま」と声をかけた。

2日間放置していたプランターのイチゴと裏の花壇のハーブの水やりに行くと、土が湿っている。

同居人が水をあげていてくれた。

まだまだ小さいのに、イチゴが赤くなり始めている。

活動先の現地人から苗をもらったときに言われた。

「ここのイチゴはどうも甘くならないんだ。」

 

冷たいシャワーで汗を流し、溜まった洗濯物の処理にとりかかる。

たらいに水をはり、洗剤を入れて手で揉み、押し、汚れを落とす。

新しく買った柔軟剤のにおいがきつくて、思わず顔をしかめたけれど、

しっかり洗い流したら仄かな香りになった。

 

手搾りで水の滴る洗濯物を干しに外に出ると、日がもうすぐ落ちようとしていた。

相変わらず雲の多い空だったけれど、その色がとってもきれいなオレンジ色で。

夕日は見えなかったけれど、夕焼けをバックに何本も立ち並ぶヤシの木がまた見事で。

ああ、うちから見える景色ってこんなによかったんだなぁ。

 

家に入ると同居人がリビングで本を読んでいる。

薄い壁の向こうに住む、現地人ファミリーのお隣さんからは、

ウクレレの音と、それに合わせてハウスガールのおばちゃんの歌声が聞こえる。

静かな夜だ。

 

こんな日は、なんだか自分が何かの物語の中心にいるような気になる。

明日はまた雨が降るだろう。